2024年に導入された新NISA制度で、多くの投資家が資産形成に乗り出しました。しかし、8月に株式市場が史上最大級の暴落を経験し、特に投資初心者の中には損を抱えてしまった人も少なくありません。今回は、投資初心者ほど暴落で損をしやすいというリアルな調査結果をもとに、新NISAで成功するためのポイントを詳しく解説していきます。
新NISA投資家の実態調査:初心者とベテランの違い
マクロミル社の調査では、全国の2378人の新NISA投資家に対し、2024年8月初旬の株価暴落時にどのような行動を取ったかがアンケートされました。結果を見ていくと、投資経験の長さによって反応に大きな違いがあることが分かります。
投資初心者の行動
成長投資枠を利用している投資家のうち、投資歴が1年未満の初心者の約10%が全てまたは一部を売却していることが明らかになりました。暴落時の不安から、感情的に行動し、損失を確定してしまったケースが多いようです。
特に初心者は周囲の意見に左右されやすく、ニュースやSNSで「株を売るべきだ」という煽りを見て焦って売却してしまう傾向が強いです。例えば、40代女性のコメントでは、「友人に勧められて売却した」とあります。また、50代男性は「メディアの影響でパニックになって売った」とのこと。短期的な株価の動きに翻弄されやすいのが初心者の特徴です。
ベテラン投資家の行動
一方で、投資歴が17年以上のベテラン投資家の多くは、暴落が起きても売却をしない、むしろ静観する傾向にあります。調査によると、投資歴が長い人たちの中で売却した割合はわずか2%前後でした。
ベテラン投資家は、リーマン・ショックやコロナショックなど、過去の大きな市場変動を経験しています。そのため、短期的な市場の変動に惑わされることなく、冷静に対応できるのです。例えば、「暴落時には慌てずに持ち続けた結果、後に大きな利益を得た」というコメントも多く見られました。
新NISAで失敗しないための3つのポイント
では、新NISAで成功するためにはどうすればいいのでしょうか?ここでは、失敗しないための3つの重要なポイントを解説します。
1. リスク分散を徹底する
リスク分散は、暴落時に損失を最小限に抑えるために欠かせない戦略です。個別株に一点集中してしまうと、大きな利益を狙える反面、株価が急落した場合に資産を大きく減らすリスクも高まります。
例えば、2024年9月30日の「石破ショック」では、日経平均株価が前日比で-4.93%の下落を見せた一方で、個別株のレーザーテックは-10.02%と、日経平均よりも大幅に下落しています。このように、個別株に集中投資すると、急激な下落に対応できなくなるリスクがあるのです。
リスク分散のためには、複数の銘柄や、国内外の株式、さらには株式と債券など、異なる資産に分散投資することが重要です。こうすることで、特定の市場が下落しても、他の資産がそのリスクをカバーすることができます。
2. 積立投資を続ける
積立投資を続けることも、成功するための重要なポイントです。市場が暴落した際には、売りたくなる気持ちが強くなりますが、積立を続けることが長期的には有利です。暴落時こそ、安く買い増しできるチャンスとも言えます。
ドルコスト平均法を活用すれば、相場が下がっているときに多くの株を安く買い、高いときには少しだけ購入することで、平均購入価格を抑えることができます。これは、リスクを分散し、長期的に資産を増やすのに有効な戦略です。
調査でも、積立投資をやめなかった投資家の多くが、暴落後に回復した市場で利益を得ています。「周囲の声やメディアの煽りに惑わされず、コツコツと積立を続ける」ことが、長期的なリターンを得るためのカギです。
3. 低コストなインデックスファンドを選ぶ
長期投資において、手数料が投資成績に大きな影響を与えることは見逃せません。たとえば、手数料が1%違うだけでも、長期間の投資では数十万円、場合によっては数百万円もの違いが生じることもあります。
特に注意すべきは、証券会社が推奨する高コストの商品です。中には、手数料が高いだけでリターンが低い「ぼったくり商品」もあります。基本的には、eMAXIS Slimシリーズのような低コストのインデックスファンドを選ぶことが推奨されます。全世界株式やS&P500に連動するファンドは、長期的に安定したリターンを得ることが期待できます。
また、ETF(上場投資信託)も手数料が低い点で優れており、個別株よりもリスク分散がしやすいです。個人的には、VOOやVTIなどの低コストETFがオススメです。
新NISAで失敗しないために
新NISAが導入され、多くの人が資産形成に挑戦していますが、特に投資初心者は市場の波乱に直面した際、感情的な判断を下しがちです。8月の暴落では、多くの初心者が損失を抱えてしまいました。しかし、調査結果からも明らかなように、焦らずに長期的な視点を持つことが成功への鍵です。
暴落時でも感情に左右されず、以下の3つのポイントを意識することが大切です。
- リスク分散を行う
- 積立投資を続ける
- 低コストなインデックスファンドを選ぶ
これらの基本的な投資戦略を守り、冷静に対応することで、将来的に大きなリターンを得ることができます。特に初心者の方は、長期的な視野を持ち、短期的な市場の動きに惑わされないようにすることが重要です。
長期の資産形成には、一喜一憂せず冷静に投資を続けることが最も大切です。これからの新NISA時代においても、この基本を忘れずに、成功を目指しましょう。